裁判の日程

(次回)

 奈良地裁での第3回口頭弁論は、12月12日(火)14:00〜に行われます。201

 号法廷の予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。

 

(御礼申し上げます)

 第2回口頭弁論が、奈良地裁 201号法廷にて、10月3日(火) 14:00〜の日

 程で行れました。今回も、地域と他大学の方々をはじめ傍聴席に入りきれない

 ほど多くの方々に駆けつけていただきました。ありがとうございます。

 

(御礼申し上げます)

・第1回口頭弁論が、奈良地裁で、7月25日 14:00〜の日程で行われました。

 当日、12:00〜奈良地裁付近において、宣伝行動を行い、

 また口頭弁論後に、奈良地裁付近の奈良県教育会館において、報告集会を開催

 しました。

 遠方からも多くの方々が傍聴に駆け付けてくださり、傍聴席が満席となっただけ

 でなく、傍聴いただけない方も出る事態となりました

 裁判の後に行われた報告集会も熱気が充満し、原告団一同大いに励まされており

 ます。決意を新たにすることをここに宣言しますとともに、ご支援・激励いただ

 いている皆様に感謝申し上げます。

 

 

第1回口頭弁論での原告当事者の意見陳述(2017年7月25日)

 

平成29年(ワ)第220号 地位確認等請求事件

原告 川本正知 外7名

被告 学校法人奈良学園

 

意 見 陳 述

 

奈良地方裁判所 民事部 合議1係 御中

 

原告 川 本 正 知

 

 

私の意見陳述では、なぜ今回の提訴に至ったのかを3つの観点から述べます。

 

第一に、この提訴で問われているのは、民間営利企業の経営責任ではなく学校法人の経営責任のあり方です。

 奈良学園もその一つである学校法人は、教育という社会の基盤をささえる役割を担うことによって極めて高い公益性をもっています。そのために税制上優遇され、公的な助成金も受けています。

 とりわけ高等教育機関である大学においては、真理の探究を旨とする研究と学生に対する専門的教育の遂行ということこそが経営の目的でなければなりません。営利企業とは経営の目的が本質的に異なります。

 学校法人は、こういった公益性の高さからその経営には崇高な理念が必要であり、それに基づく高い倫理性と規範意識がもとめられます。また、税制上の優遇、公的な助成金を受けていることから社会に対する公的義務と責任を負っており、そのことを常に自覚していなければなりません。学校法人は利益追求を目的としてはならず、その公益性を十分に自覚した運営がなされなければならないのです。

 このような観点からしますと、私たちの提訴に至った経緯からみえてくるのは、被告のまったく教育機関らしくない姿です。奈良学園においては、その理事長および理事会がこれまで再三にわたって違法ならびに背信的な経営を行うことにより甚大な損害を与えてきました。しかし、訴状の中でとりあげた①平成18年度の関西科学大学の設立申請における文書虚偽記載の発覚による申請取り下げ、②平成19年に発覚したビジネス学部の改組にあたっての虚偽申請、③平成25年度の現代社会学部申請取り下げ、④平成28年度の「第三の学部」設置計画の一方的凍結、これら4つのいずれの事件においても、理事会はみずから経営責任を認めようとはしませんでした。民間企業と異なり、公益性の高い教育機関だからこそより厳しい道義というものが要求されるにもかかわらず、理事会はその自覚もなく、教育機関としての責任感が全く欠如しております。

 この度、被告は経営責任をまったくみとめることなく、自らの大学再編の失敗を口実として、長年にわたって大学教育を担ってきたビジネス学部・情報学部教員の排除をもくろみ、大量の不当解雇をおこないました。私たち奈良学園大学教職員組合は上記諸事件の理事長および理事会の経営責任を追求してきました。このことと不当解雇の間には深い関系があります。

 今回の提訴で問われているのは、学校法人の経営責任のあり方です。被告の背信的経営によってひきおこされた大きな損害とその責任が、この裁判において白日の下にさらされ、被告の断罪がすみやかにおこなわれることを私たちは強く希望しています。また、同時に、私たちは、ここに提訴を行うことによって、私たちが育んだ奈良学園が正常化され、まっとうな教育機関として再生されてゆくことを心から願っています。 

  

二番目として、今回の訴訟が私立大学の将来に与える影響について述べます。

 私立大学・短大は学生数で日本全体の75パーセントを占め、次代を担う市民、職業人を育て、社会の発展に大きく貢献してきました。また、高等教育に於ける比率からみて、今日の日本国民の文化的水準の維持は私立大学のとりくみにかかっているといっても過言ではありません。

 一方、少子化による18歳人口の減少により現在全国の私立大学のおよそ半数が定員割れの問題に直面しております。このことから生じる大学の採算の悪化は、経費削減による教育・研究環境の劣化、募集停止による学部・学科の閉鎖を各地で引きおこしております。

 しかし、現在の社会の教育水準を維持してこそ将来の活力ある社会は可能です。また、昨今のグローバル化の進展によって、英語教育や情報教育などの基礎的教育は言うまでもなく、あらたな世界状況に対応するための高いレベルの教養や応用の利く専門的知識が要求されています。定員割れや財政難を理由に私立大学が高等教育機関としての責務を放棄することはできません。特に、大学における学部・学科の廃止は最終的な手段でなければならず、それ以前に教育・研究水準を維持する努力が最大限おこなわれなければならないのです。

 しかるに、近年の奈良学園は、現代社会学部の申請取り下げに始まり、ビジネス学部・情報学部を廃止する一方で、現代社会学部に代わる「第三の学部」の検討も凍結し、また組合が提案してきた「教育・研究センター」案の真摯な検討も怠りました。莫大な資金で人間教育学部、保険医療学部の新しい学部を設置して大学の存続を図りつつ、それまで教員として長年奈良学園の高等教育を支えてきた既存教員の専門性を生かす場をことごとくなくすことによって故意に過員を創り出し解雇しました。被告によるこれらの一連の施策は長年学園の高等教育を支えてきた既存教員の解雇を目的とした大学再編だったことが本訴訟において明らかにされることを私たちは望んでおります。

 今後、私立大学においては学部・学科の再編、縮小、廃止がますます増えていくことが予測されます。その中で、このような、教育機関にあるまじき背信的な仕方による大量解雇をここで容認してしまえば、それが悪しき前例となり、大学改革や大学再編という名のもとでの理不尽な解雇が一般化してしまうでしょう。そういう意味において、今回の訴訟は奈良学園のみならず他の私立大学の将来に大きな影響を与えるに違いありません。

 

三番目に、大学教員の労働者としての権利の蹂躙という問題について述べます。

 私たち奈良学園大学教職員組合は結成以来3年にわたり奈良学園大学ひいては奈良学園全体の正常化を目指して、労働組合として理事会の責任を追及し、「全ての教職員に対する現行の身分保障並びに雇用延長制度の慣例を含めた待遇を維持すること」を求めて団体交渉をおこなってきました。その間、30回の団体交渉が行われましたが、被告西川彭(ちかし)理事長が出席したのはわずか2回であり、理事でもあり大学の教学の責任者である梶田叡一前学長は一度も出席しておりません。また、団体交渉においては、学園側は組合の要求にまったく応えず、その提案をまともにとりあげようとせず、不誠実な対応を繰り返しました。

 そのため、組合側は4度にわたり奈良県労働委員会にあっせんを申請しました。平成28年7月26日の3度目のあっせんにおいては、「労使双方は、大学教育に携わる者として、教育の充実、発展及び健全な大学経営に尽力することが肝要であること、そのためにも、労使紛争を早期に終結する必要があることを自覚し、次の点を踏まえ、速やかに団体交渉を実施する。」とし、「1.労使双方は、今後とも責任と権限を持って協議、回答できる者を選任して、今後の団体交渉を進める。また、互いの主張を真摯に受け止め、早期に問題解決が図られるよう努力する。 2.労使双方は、今後の団体交渉において、組合員の雇用継続・転退職等の具体的な処遇について、誠実に協議する。」とのあっせん合意が結ばれました。

 しかし、その直後に、一方的に教員の事務職への配置転換募集が行われ、その後2度の団体交渉を経ただけで、同年10月24日に組合員に対する退職勧奨が常勤理事会において決議されました。そこで、組合は同年11月29日に奈良県労働委員会に対して不当労働行為の救済を申し立てました。ところが、その救済の手続き中にもかかわらず、組合員に対して退職勧奨さえも行わず、平成29年2月1日に被告は解雇予告通知をおこない、同年3月31日に解雇を強行しました。

 これらの不誠実団交、労働委員会でのあっせん合意無視、救済手続き中の解雇の強行という一連の被告の対応は、憲法で保障された労働組合活動を支える労働委員会制度を蔑ろにする行為であるだけでなく、本件解雇が不当労働行為であることを明確に示すものです。この解雇は、私たち組合員の排除を目的とする明白な不当労働行為であり、大学教員の権利の蹂躙です。もしもこのような解雇が許されるならば教員としての権利が強権的な法人によって恣意的に剥奪されうるという悪しき前例になります。

 

 最後に、私たち原告は大学教員として懸命に教育、研究、大学運営に尽力してまいりました。約10年前の文科省への2つの申請書類の虚偽記載問題、平成25年の現代社会学部申請の取り下げ、平成27年以降の第3学部構想の行き詰まりなど、すべて被告法人側の責任であり、私たちには何ら非はありません。正当性のないこの解雇は私たち奈良学園大学のビジネス学部・情報学部教員の教育・研究の権利そして生活の権利をも否定する非情な仕打ちであり、法の道を逸脱した行為として許し難いものです。本訴訟において、被告の不当性を明確に判断していただくことを私たちは強く求めます。