奈良学園大学教員7名に対する解雇・雇止めの無効と地位確認を求めた裁判

控訴審で裁判上の和解が成立したことの報告と御礼

 

 

学校法人奈良学園(西川彭理事長(当時))は、約4年前の20173月末日、私たち奈良学園大学の教員7名を解雇・雇止めしました。これに対し、7名は解雇・雇止めの無効と地位確認を求める裁判を奈良地裁に提訴しました1

 

昨年20207月、奈良地方裁判所は5名の解雇は無効であるとし、原告側は勝訴することができました。ただ残念なことに、2名の雇止めについては最終的判断としては有効とされ敗訴となりました。法人は解雇無効とされたことを不服とし控訴したため、それに応じ原告側も有効とされた雇止めに対し控訴し、舞台を大阪高等裁判所に移し控訴審を闘ってまいりました2

 

控訴審では結審が本年20212月にあり、判決期日が511日と決められました。3月に入り裁判長が奈良地裁判決を前提にした和解解決を双方に強く呼び掛け、双方が真摯に和解協議に応じていった結果、急転525日に原審原告らと学校法人奈良学園(伊瀨敏史理事長)とのあいだで訴訟上の和解が成立するに至りました。2名の原告は大学教員として職場復帰し、残る教員5名は合意退職することになりました。

 

和解成立にあたり、裁判所による和解調書が作成されました。そのなかに口外禁止条項が設けられており、残念ながら和解内容の一つ一つについてお伝えすることはできませんが、解雇・雇止めまでの約3年、解雇・雇止め後の約4年という長い闘いにようやく終止符を打つことができました。大きな枠組みにおいて良い結末を迎えられたと考えています。

 

振り返りますと、2013年度に入りビジネス学部と情報学部の次年度の学生募集を停止し、その3年後には両学部を閉鎖するため、それまでに転退職をするよう所属教員に対し法人が迫ってきたことが私たちが立ち上がる発端でありました。法人の一方的な方針に反対する4人の教員が奈良学園大学教職員組合を結成し闘いが始まりました。この時点では全教員の解雇や雇止めをなんとしてでも食い止めることを目指しており、7年もの闘争になるとは想像もしていませんでした。

 

組合結成と同時に関西地区私立大学教職員組合連合(関西私大教連)に加盟し、続いて奈良県労働組合連合会(奈労連)一般労組に加入し、奈労連一般労組奈良学園大学支部も結成しました。私たちは両上部団体の全面的支援を受けながら粘り強く団体交渉、宣伝行動、署名活動等を続けてまいりました。両上部団体を通じて他労働組合や各種団体・組織、そして多くの市民の皆様、仲間の皆様ともつながり、物・心・知の三面から支援や応援をいただいてまいりました。原告ら自身の知己からも心強い励ましや支援も受けてきました。

 

残念ながら、解雇・雇止めは強行されましたが、解雇・雇止め前後には、京都外国語大学教職員組合の先生を通じ、私たちの闘いに深い共感を示してくださった豊川弁護士と邂逅できたことで、多士済済の5名からなる弁護団(豊川義明、佐藤真理、鎌田幸夫、中西基、西田陽子の各弁護士)が結成される運びとなりました。

 

裁判闘争では、弁護団の先生方には私たちの切実な訴えを理解整理したうえで筋立った形の書面を作成していただいたことをはじめ、司法の場で力を尽くしていただきました。私たちは弁護団に全幅の信頼を置き裁判を闘うことができました。

 

そして、奈良地方裁判所および大阪高等裁判所で担当いただいた裁判官は正義を重んじ、法に基づいた公正で公平な審理を尽くされ、判断を下されました。

 

最終的に原審原告と被告法人が歩み寄り、私たちの闘いが和解により解決することができたのは、このようにさまざまな形で関わってくれたすべての皆様と共に総力戦を闘うことができた成果だと思わざるを得ません。あまりの長期戦に、私たちもときには疲れたり、迷ったりすることもありましたが、皆様からの励ましを背に最後まで闘い抜くことができました。私たちの闘いに関わってくださったすべての皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

私たちの闘いが大阪高等裁判所での訴訟上の和解により解決に至りましたことを、御礼の気持ちを込めて以上ご報告申し上げる次第です。

 

2021年7月11日

  原告団一同

  奈良学園大学教職員組合

 

1)平成29年(ワ)第220号地位確認等請求事件

2)令和2年(ネ)第1763号地位確認等請求控訴事件、および令和2年(ネ)第2193号地位確認等請求控訴反訴事件